腎不全とは
腎不全とは腎機能が低下して正常に働かなくなった 状態で,急性腎不全とi慢性腎不全がある.腎機能の低 下に伴い糸球体潟過能の低下をきたし,体内で発生し た老廃物や過剰水分を体外へ排出できなくなると尿毒 症となり,人工透析が必要となる.人工透析を受けて いる患者では血栓予防のため,抗凝固薬や抗血小板薬 を服用していることがある.
腎の機能と腎不全の症状
水の排出:むくみ、高血圧、肺水腫
酸・電解質の排出:アシドーシス(体に酸がたまる)、高カリウム血症、高リン血症
老廃物の排出:尿毒症(気分不快・食欲低下・嘔吐・意識障害)
造血ホルモン産生:貧血
ビタミンD活性:低カルシウム血症、骨粗鬆症
治療における注意点とその対処法
(1)十分な医療面接を行う
腎不全の症状,治療内容,投薬内容を確認し,必要であれば,かかりつけ医に合併症や腎機能状態の診療 情報の提供を依頼する.
(2)透析日を確認する
透析直後は出血のリスクが高く,脱水状態による血圧低下をきたす可能性があるため,抜歯などの観血的処置は透析の翌日に行う.
また,観血的処置を行う際 は,抗凝固薬や抗血小板薬服用の影響により止血困難 となる場合があるため,十分な止血の確認,場合によっては止血用シーネを作製し対処する.
(3)投薬の際は薬剤の排池機序に注意する
抗菌薬,鎮痛薬の中には腎排池のものや,腎毒性を 有するものがあり,投薬の際は十分注意する.腎不全 による排池不全により体内に薬剤が蓄積する可能性が あるため,投与量の減量に関してかかりつけ医から情報を得る.
(4)必要に応じて予防投与を行う
感染に対する免疫力低下の可能性があり,抗菌薬の予防投与が望ましいが,ペニシリン系,セフェム系の 抗菌薬は腎排出のため減量や服用期間延長の必要があ る.マクロライド系抗菌薬では調整の必要はない .