先天性心疾患とは?
先天性心疾患とは,胎児期における心臓や大血管の 分化発育の異常によって生じる心奇形である.成人に 高頻度でみられるものには1心房中隔欠損,2心室中 隔欠損,3肺動脈狭窄症,4動脈管開存症,5大動脈 狭窄症,6フアロー四徴症がある
Down症など障害のある患者では,先天性心疾患 を合併していることが多く,比較的軽症な非チアノー ゼ群と重症なチアノーゼ群に分類される(表1).心 機能の重症度はNew York Hart Association (NYHA)の心機能分類で1度~IV度に分類されてい る.
歯科治療における注意点とその対処法
(1)十分な医療面接を行う
先天性心疾患の手術などの既往歴,現在の運動制限・投薬内容,定期健診内容を確認し,必要であればかか りつけ医に合併症や心機能状態の診療情報の提供を依頼する.
(2)診療中はバイタルサインをモニタリングする
モニタリングによって急激な血圧の変動や経皮的動 脈酸素飽和度(spcgの低下を避けるよう配慮する 術前よりSpO,,の低い患者では,鼻カニユーレによる低流量の酸素投与を行いながら診療を進める.
(3)感染性心内膜炎に注意する
観血処置を行う場合は感染性心内膜炎の予防を目的に抗菌薬を投与する。
予防投与の対象疾患,投与量,投与方法を確認する.
先天性心疾患のある場合,過去に内服既往のある抗菌薬の1日投与量を処置開始の1時間前に服用することが多い.