過酸化水素(H₂O₂)の概要と用途
歯科では、過酸化水素をとても多く利用します。
ただ、呼び方がいろいろだったり、商品名で分けていたりするので、実際の成分が過酸化水素だと知らないで使っている衛生士さんや助手さんも多かったりします。
過酸化水素の濃度と用途
1. 根管洗浄剤としての使用
根管内の残存する有機物や細菌を除去するために使用されます。過酸化水素が分解されると酸素が発生し、発泡作用で汚れや細菌を浮かせて除去します。
多くの場合、過酸化水素は他の洗浄剤(例えば次亜塩素酸ナトリウム)と併用されることがあります。
次亜塩素酸ナトリウムと混合すると有害なガスを発生する可能性があるため、使用時には順番や濃度に注意が必要です。
次亜塩素酸ナトリウムが強力な殺菌効果を持つのに対し、過酸化水素はその補助的な役割を果たします。
濃度: 根管洗浄剤としては、3%が一般的。
特性:
酸化作用: 過酸化水素は強い酸化剤で、根管内の有機物を分解する作用があります。
発泡作用: 根管内の汚れや細菌と接触すると発泡し、それらを浮かせて洗い流すのに役立ちます。
消毒効果: 殺菌効果があり、根管内の細菌を減少させることができます。
2. 口腔消毒やうがい薬としての使用
用途: 軽度の口腔内消毒や、外科手術後のうがい薬として使用されることがあります。低濃度で粘膜を刺激しないように調整されています。濃度: 1.5%から3%
3. ホワイトニング剤の成分としての使用
ホームホワイトニングやオフィスホワイトニングで使用されるホワイトニング剤に、過酸化水素が含まれることがあります。濃度が高いため、使用時には歯科医の指導が必要です。濃度: 10%~40%(ホワイトニングジェル中)
高濃度の過酸化水素: 濃度が6%以上の過酸化水素は、組織に対して刺激が強いため、歯科医師の監督下でのみ使用されます。
組織保護: 特にホワイトニングなどで高濃度の過酸化水素を使用する場合、歯肉や口腔粘膜を保護するために、ラバーダムや保護ジェルが使用されます。
生活歯(神経が残っている歯)に行うホワイトニング(バイタルブリーチ法)
①オフィスブリーチ
強めの薬剤を用い診療室で行う。
30〜35%過酸化水素水や過酸化尿素を使用。
②ホームブリーチ
弱めの薬剤を用い自宅で毎日マウスピースを使用してもらう。
期間は2週間ほど。
失活歯(神経を抜いた歯)に行うホワイトニング
③ウォーキングブリーチ
30〜35%過酸化水素水や過ホウ化ナトリウムを使用。
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