全部歯抜いちゃえば、歯磨きしないでいいじゃん!

投稿者: | 2017年3月27日

先日、すごい発言を聞いてしまいました。
50代男性の方で、
「全部歯をなくしちゃえば、歯磨きしないでいいじゃん!」

この方は、虫歯で数本の歯をなくして、現在は部分入れ歯を使用中なんです。

部分入れ歯を支えている歯は負担も大きく、汚れやすいので、虫歯になりやすい。

虫歯になっては歯を治療し、、治療しても、数年後には、抜歯。

部分入れ歯の作り直し。

まさに負のドミノだおしのように、お口の中の歯がなくなっている方でした。

そして、出た言葉が

「全部歯を抜いちゃえば、歯磨きしないでいいじゃん!」

苦労してきたことは分かるけど、、かなり驚かされました。

その瞬間、私が思ったことは、、『この人、死にたいの?』

これが本音です。
しかし、そんな暴言吐けません(笑)

どこから説明したらわかってもらえるか一瞬悩みましたが、

なぜ、嫌な思いをしてでも歯医者で歯を残せるように治療する必要があるのか、
なぜ、面倒な歯磨きを1日2〜3回もしなければならないのか、
を伝えるために、

『望み通り歯が1本もなくなってしまったらどうなるか?』

要点としては、
『入れ歯は、何も楽にならないし、食事がまずくなるよ。
歯がなくなると、永遠に胃もたれなど胃腸の不快症状に悩まされ、
次第に生きる気力もなくなり、体が衰弱するよ。』

ということです。
簡単に解説していくと、、

①総入れ歯にしちゃえばいいじゃん!はアウト!
この男性の意図は歯を全部抜いて総入れ歯にしたいということは理解しています。
しかし、総入れ歯は、一生使えるとは限らないのです。
総入れ歯を支えるためには、もともと歯を支えていた骨の凹凸が必要です。
ですが、入れ歯を入れ続けると、この骨の凹凸がなくなってしまうのです。
凹凸がなくなっても、入れ歯を使えないというわけではありませんが、すごくよく外れるカパカパの入れ歯にしかなりません。これじゃ、食事を噛んだりできないです。

また、入れ歯が合わないと、粘膜に傷がついてとても痛い。
入れ歯は、お口に合うように調整しなら、使わなければならないので、歯医者さんに行く頻度が減るとは限らないのです。

それに、食事が美味しくなくなります。
入れ歯に覆われているので、食感が感じにくいですし、入れ歯の圧迫感と、隙間に入ってくる食べカスなどで、食事中の不快感はMAXです。
私も入れ歯の粘膜部分を再現したものを、入れて食事をしたことがありますが、どんなにピッタリの入れ歯でも、かなりの食物残渣が隙間に入ってきます。
外すときは、なかなか外れないくらい、しっかりくっついているのに、、

また、入れ歯は、毎日のお掃除が必要です。
なので、歯磨きがなくなっても、入れ歯の掃除とお口の中の掃除で手間が減るとも限りません。

そして、入れ歯が使えなくなってしまったら、、それは、本当に人生の終わりも近いといえます。

②噛めなくなるのは、消化菅が1つなくなるのと同じ!
胃痛がするから、胃を取り除いて欲しいという人はいないですよね?
ですが、歯をなくすというのは、これと同じです。

お口の中は食べ物を消化するための第一段階です。
固形で入ってきた食べ物を細かくし、唾液中のアミラーゼなど消化に必要な酵素を絡ませ、胃へ送る。

胃の形は皆さんご存知だとは思いますが、袋状の構造です。胃液で溶かしながらモミモミすることしかできないんです。
そこに、噛み潰していないものが入ってきたら、どうでしょう?

③脳の機能が低下する

お口に食べ物が入ってきたとき、脳ではあらゆる調整をしています。

  1. 口の外に食べ物がこぼれないように唇をうまく動かし、
  2. あごを動かし食べ物を噛む
  3. その時、ほっぺや舌を噛まないように、筋肉を動かす。
  4. さらに、お米など細かいものを奥歯の咬む面に乗っかるように、ほっぺや舌を動かす。
  5. 食べ物がある程度小さくペースト状になってきたことを確認し、
  6. 飲み込む
  7. ほっぺたと歯茎の間に挟まった小さな食べ物も舌を使ってかき出したり、
  8. 歯と歯の間に挟まったものを認知し、指で取り出す


などなど、、

ざっと挙げただけでも、これだけの事を食事中、同時進行で行なっているのです。

そのため、認知症や脳に何らかの麻痺がある方は、
食後米粒や野菜の葉っぱ等たくさんのものがお口の中に残ってしまいます。
自分で上記のような調節ができない(食べ物が口の中にあるとわかっていてもうまく動かせなかったり、食べ物が残っていることすら認知できない)のです、
そのため、食後に係りの者がお口を拭き取ったり、流したりして、何とか、口の中で食べ物が腐るのを防ぎます。

これは、動きだけですが、他にも、
食事の温度(熱いものや冷たいもの)
食感(硬い、柔らかい、スジっぽい、ツルツルしてる、トゲトゲしてる)
味覚(辛い、苦い、甘い、酸っぱい)

などの情報が脳に伝達され、
総合的に、美味しくて幸せとか、不味くて不愉快になったとか、
感情などにも影響します。

なので、食事を自分で噛んで食べるという、それだけのことですが、脳は想像以上にフル回転しているのです。

これだけの事を食事という行為の中で行なっているのです。

なので、高齢の方がボケずに健康でいるには、よく噛んで食べることが、とても大切です。

今ある歯は1本でも多くキープしていきましょう。
それはとても大切な財産です!

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