最近、小児歯科に勤務し始めて、小児歯科を勉強し直しています。
今回は、口腔機能発達不全症についてまとめていきます。
口腔機能発達不全症とは
母乳やミルク、離乳食の誤った与え方により、噛む・飲む・離すなどの口腔機能を正常に獲得できず、口腔機能の発達において、専門知識が必要な状態になっている状態。
歯科医療では2022年の診療報酬改定で対象年齢が、15歳から18歳までに引き上げられたこともあり、
口腔機能管理の重要性というのは、注目のトピックです。
厚生労働省:ライフすてーじに応じた口腔機能管理の推進
歯科医院で取り組むことでのメリット
・他院との差別化
・口腔機能の管理を行うことにより、小児患者の離脱を防げる。
・小児の自費診療の足掛かりとなる
・小児の現代病を改善するという社会的な役割を果たす
など、経営の面だけでなく、社会的な大義名分もありまくりです。
歯科での対象となる年齢は、メンテナンスでの定期来院ができる年齢の患者さん(おおよそ3歳以上)
になるかと思います。 ※哺乳完了前と哺乳完了後ではチェック項目が違います。
検査や診断の流れ
問診
事前に待合室・待ち時間などで問診票を記入してもらいます。
視診
メンテナンス時に、歯の萌出・歯列・う蝕をチェックします。
その他
咬筋の触診・唾液嚥下の指示・発音チェック・口腔口唇閉鎖力検査。運動チェック
などを行います。
視診ではどんなことをするの?
・歯の萌出に遅れがないか
・歯列・咬合に異常がないか
・咀嚼に影響するう蝕がないか
・口呼吸がないか
・口蓋扁桃等に肥大がないか
をチェック表をもとにチェックしていきます。
これって、普段の検診やメンテナンスでもチェックしていることばかりですが、
その他に、口腔機能発達不全症として診断するためにチェックする項目を説明していきます。
咬筋の触診
C-4強く嚙み締められない、C-6偏咀嚼があるをチェクします。
抗菌を触りながら、噛みしめてもらうように指示します。
・咬筋があまり動かない、盛り上がりに左右差がある場合→C-4にチェック・
・左右差がある場合 →C-6にチェック
唾液嚥下の指示
C-7舌の突出(乳児嚥下の残存)がみられるかをチェックします。
唾液を飲んでもらうよう指示します。
・上下歯列間に舌を挟んでしまう
・上下前歯舌面に舌を圧迫させて飲み込む
・歯列の側方に舌を出してしまう
→いずれかの場合C-7にチェック
発音チェック
C-9構音に障害がある(音の置換、省略、歪み等がある)かをチェックします。
カ・サ・タ・ナ・ラ行を言ってもらいます。
音の置換、省略、ゆがみ等があればC-9にチェック
舌の運動チェック
・舌を上げてもらい、ハート舌になっていないか
・舌先を歯列外に出せるか
・舌先で唇に触れられるか
・ポッピングができるか
いずれかに該当した場合は、C-12の舌小帯に異常があるにチェックします。
小児口唇閉鎖力検査
検査は必須ではありませんが、数値で患者様に分かりやすく口腔機能発達不全を伝えられるので、
とても効果的です。ちなみに100点の算定もできます。
(株)松風の「りっぷるくん」などで検査可能です。