注意欠陥・多動性障害とは
注意欠陥・多動症/注意欠陥多動性障害(ADHD) は.
DSM-IV-TRにおいて,行動障害に分類されていたが,
DSM-5では神経発達障害に変更となった.
集中し続けることが困難(不注意)であり,
過剰に落ち 着きがなく多動性,突発的な行動をとる(衝動性)などの特徴がある.
ADHDは,これらの症状が12歳 になる前に発現する障害である.
原因・発生頻度
中枢神経系の機能障害で,いくつかの特定遺伝子が 関与していると考えられている.
女性より男性に多く,子どもの約5%および成人の約2.5%に注意欠如・ 多動症が生じるとされている.
特徴
1 不注意:見過ごしたり見逃したりなど,注意力を維持しにくく気が散りやすい.
2 集中することが困難で,指示に従えず用事をやり遂げることが困難である.
3 物事を順序立てて考えることや精神的努力を要する ことが困難である.
4 しばしば忘れっぽく,物をなくしやすい .
多動性および衝動性
1 落ち着きがなく手足を動かすなど,身体を動かすこ とをやめられずじっとしていない.
2 授業中など席についていることが求められる場面 で,しばしば自分の席を離れる.
3 多弁で,こちらからの質問が終わる前に出し抜いて 答え始める.
4 順番を待つことが困難で,他人の妨害や邪魔をする.
口腔内の特徴
ADHD特有の口腔内症状はないが,口腔衛生状態 は不良であることが多い.
その原因として,口腔衛生 指導に対して注意を傾けられなかったり,
忘れっぽさ などから口腔清掃習慣が確立されにくい点が挙げられる.
医療面接
ADHDの患者にとって,恐怖体験は記憶に残りやすく,
診療所へ通えなくなってしまったり,パニックをおこす引き金となる場合がある.
医療面接では,普段のコミュニケーション方法やパニック時の対応などを十分把握し,
行動調整法を選択する必要がある.
【主な医療面接事項】
1コミュニケーション方法
2興味対象・恐怖対象 害
3パニック時の対応
4服用薬
環境整備
個室やパーテーションを利用し,周囲の刺激を最限にすることで,集中しやすく気が散らないよう環境 を整備したり,
最終的な目標を分かりやすく提示したりすることが有効である.
発達障がいの合併
発達障害では,
知的能力障害
自閉スペクトラム症
ADHD
学習障害(LD : Learning Disabilities)
などのうち,
1人の人が2つ以上の障害を合併している場合がある.
歯科診療時には,患者1人ひとりの特性に合わせて診療していくことが重要である.
学習障害(LD)
「聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力」のうちひとつ,もしくはこのうちいくつかが,
習得と使 用に著しい困難を示し,学業や日常生活支障をきたす状態.